|展覧会目的|
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浮世絵版画の世界的影響力、創作版画運動の健闘、戦後の日本人版画家の国際的活躍、等々、我が国の版画文化の優秀性は、つとに知られるところであります。
1957年、東京国際版画ビエンナーレがスタートし、版画の世界的な盛り上がりを背景に、現代美術としての版画という認識を、広く社会に浸透させました。現代版画の黄金時代と呼ばれる’60年代から’70年代を経て、版画は自律した表現領域として市民権を得、揺るぎない地位を確立しました。’80年代以降、他の国や地域では見いだす事ができない、版画先進国と呼ばれるにふさわしい、成熟した状況の中で、版画は、さらにその独自性の深化と発展形を示すに至っています。しかしながら、版画表現の現在進行形とも言うべきこれ等の豊かさを、すくいあげる枠組みや、十全に評価しうる批評的視座が、未だ見いだされていない現状は指摘されなければいけないでしょう。
「PATinKyoto京都版画トリエンナーレ」は、版画先進国日本ならではの状況の下で、進化を続ける版画表現の多様性に注目し、さらなる爛熟を鼓舞し、そしてその成果を世界に向けて発信するべく、複数コミッショナーの推薦制による、新たな枠組みを持った、(現代美術としての)版画の展覧会を企画し推進します。日本の伝統文化としての版画、そして現代の版画表現の多様性を、文化芸術都市京都から世界に向けて発信します。
以上展覧会HPより抜粋